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2021年11月30日 / 設備
戸建ての24時間換気システムとは?種類や選び方・3つの注意点を解説
24時間換気システムは、建物内の空気を休みなく換気し続けるシステムです。
法律で24時間換気システムの設置は義務付けられているため、戸建てを建築する際は自宅に適したシステムを設置しましょう。
この記事では、戸建ての購入を検討している人に向けて、24時間換気システムの種類や選び方、注意点などを紹介します。
ぜひ、住まいに適した設備選びの参考にしてください。
目次
1.24時間換気システムとは
24時間換気システムとは、24時間「給気」と「排気」をし続けるシステムです。
24時間換気システムは、給気口と排気口のいずれか、または両方に換気扇を取り付けます。
なお、システムの稼働には電気代がかかりますが、室内の空気を正常化するためには必要経費といえます。
空気清浄機との違い
空気清浄機は、室内の空気を循環させホコリなどを除去するシステムです。
24時間換気システムのように稼働させたままにしても、空気清浄機では、人体にとって有害な一酸化炭素や二酸化炭素を除去できません。
一酸化炭素はガスの暖房機などを使ったときに、二酸化炭素は呼吸などで発生します。
空気清浄機のみの環境では換気が必要不可欠なため、必ず24時間換気システムを稼働させ、有害物質を排出しましょう。
2.24時間換気システムは義務化されている
24時間換気システムは、2003年の改正により、戸建てを含むすべての住宅で設置が義務化されました。
建築基準法では「1時間で半分以上の空気を入れ替えられる性能」を、24時間換気システムの基準としています。
ちなみに、キッチンの換気扇は短期間で換気するために搭載されており、24時間換気システムとは役割が異なります。
※参考:改正建築基準法|国土交通省
3.24時間換気システムが義務化された背景
24時間換気システムが義務化された背景に、住宅の「高気密」や「高断熱」の進行があります。
高気密・高断熱な住宅では、ホルムアルデヒドのような有害物質や湿気・カビなどが溜まりやすく、シックハウス症候群などのトラブルが起こる可能性があります。
24時間換気システムを稼働させると、適切な換気により人体への悪影響が緩和されます。
4.24時間換気システムは主に3種類
24時換気システムは「給気」と「排気」の仕組みの違いから3種類に分けられます。
以下では、3種類の24時間換気システムについて、メリット・デメリットを交えて紹介します。
第1種換気方式
第1種換気方式は給気口にも排気口にも換気扇を搭載し、室内に気流をつくり効率良く換気を行います。
第1種換気方式には、オプションとして熱交換換気システムが備わっている場合があります。
第1種換気方式のメリット
第1種換気方式は、3つの換気方式のなかではもっとも換気の効率に優れています。
窓を開けなくても十分な換気ができます。
また、高性能なフィルターを選ぶと、PM2.5や花粉のような微細な異物を室内に侵入させません。
冷暖房効率を気にするなら、省エネ効果の高い熱交換換気システムが備わった設備を選びましょう。
熱交換換気システムは、排出される空気の温度を利用して、給気される空気を適温に調整します。
第1種換気方式のデメリット
第1種換気方式は、2つの換気扇を動かすためランニングコストが割高です。
また、第1種換気方式を適切に運用するには、気密性の高さが重要です。
気密性が低いと隙間から入り込んだ風が室内の気流を乱し、換気の効率が低下してしまいます。
第2種換気方式
第2種換気方式では給気口のみに換気扇が設置されており、室内外の気圧差により、微量の空気が排気口から押し出される仕組みです。
第2種換気方式は、一般の戸建て住宅ではほぼ見かけません。
第2種換気方式のメリット
第2種換気方式では室内の気圧が高くなるため、外部のPM2.5・ホコリ・花粉などの汚染物質の侵入を防ぎます。
第2種換気システムは、精密機械の製造現場や研究室など、クリーンな環境を求める現場によく利用されます。
第2種換気方式のデメリット
第2種換気方式は、もっとも換気効率の低いタイプです。
また、第2種換気方式は給気口の近くが冷えやすく、正圧で壁内に湿気が溜まり結露する傾向も見られます。
戸建てには、第2種換気方式は不向きといえます。
第3種換気方式
第3種換気方式は、戸建てで一番多く採用されるタイプです。
第3種換気方式は排気口にのみ換気扇を設置し、排出分に応じた空気を自然に給気口から取り込みます。
なお、第3種換気方式で適切に換気するためには、すべての部屋に給気口を設置する必要があります。
第3種換気方式のメリット
第3種換気方式で設置する換気扇は1つのみで、熱交換換気システムも搭載しません。
そのため、初期費用やランニングコストが安く、施工しやすいタイプといえます。
また、第3種換気方式では室内の気圧が低くなるため、住宅の気密性にかかわらず壁の中に湿気が入りこみにくくなります。
第3種換気方式のデメリット
第3種換気方式は熱交換換気システムを備えていないため、給気口の近くは寒く感じやすい場合があります。
また、建物の気密性があまりに高いと、気圧差で玄関のドアを開けにくくなります。
5.戸建ての24時間換気システムの選び方
戸建ての24時間換気システムの選び方を紹介します。
換気の効率や健康面を考慮して適切なタイプを選びましょう。
基本的には第1種か第3種換気方式
一般的な戸建てに設置する場合は、第1種か第3種換気方式を選びましょう。
第2種換気方式は排気しにくく、3つのタイプのなかではもっとも換気の効率が落ちます。
また、第2種換気方式では壁内結露が発生しやすく、特に木造住宅では結露により建物の寿命が短くなってしまいます。
アレルギー体質であれば第1種換気方式
入居する家族にアレルギーの体質の人がいる場合は、コストがかかったとしても第1種換気方式を導入しましょう。
第1種換気方式は、フィルターで外部の有害物質を取り除き、効率のよい換気で室内から発生する有害物質を速やかに排出します。
アレルギー体質の人は、シックハウス症候群にかかりやすい傾向があります。健康を優先してシステムを決定しましょう。
最終的には専門家に相談する
24時間換気システムのタイプに迷ったときは、ハウスメーカーや施工業者などの専門家に相談しましょう。
住居の「システム」部分は、自分たちの判断で決定しにくいものです。
建物の気密性、換気システムの機能性やメンテナンスのしやすさ、などの観点から専門家の意見を聞いて総合的に判断してください。
6.24時間換気システムの3つの注意点
24時間換気システムについて、使い方やメンテナンスにかかわる注意点を紹介します。
「電気代の節約」などの理由でスイッチを切らない
24時間換気システムは停止させてはいけません。
システムを稼働させるための費用は、高くても月に数百円程度です。
システムを止めても、大きな節電効果は見込めません。
システムを停止させると結露やカビが発生しやすくなり、健康を害したり、家のメンテナンス費用がかさんだりする可能性があります。
基本的に、24時間換気システムは稼働させたままにしておきましょう。
1年に1回程度お手入れする
給気口と排気口のフィルターは、定期的に掃除や交換が必要です。
掃除をする際は、フィルターを掃除機で吸ったり、水洗いしたりしてホコリを取り除きます。
水洗い不可のタイプもあるため、掃除をする前に仕様書を確認しましょう。
なお、交換用のフィルターは、ホームセンターなどで手に入ります。
台風などの際には一度スイッチを切る
台風など外の雨風が激しいときは、いったん24時間換気システムのスイッチを切り、給気口を閉めましょう。
給気口からは空気が出入りしますが、雨も侵入してしまいます。
室内が濡れないように、一時的に換気をしなくても構いません。
ただし、天候が落ち着いたあとは忘れずにシステムを稼働させ、給気口を開きましょう。
7.まとめ
24時間換気システムは、建物への設置が義務付けられています。
戸建てに適したタイプは、第1種換気方式または第3種換気方式です。
コストや性能、建物の特性などを考慮し、専門業者の意見も参考にして24時間換気システムを選んでください。
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会社名:田中建設株式会社
部署名:編集部
執筆者名:大勢待 昌也
執筆者の略歴 保有資格 住宅ローンアドバイザー
執筆者のSNSのリンク:https://www.facebook.com/oosemachi
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