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2025年7月9日 / 構造

広島で南海トラフが発生したらどうなる?廿日市市の被害想定と備え

 

今後30年以内に高確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震による被害が懸念される中、広島県内でもリスクへの関心が高まっています。

その中でも沿岸部に位置する廿日市市では、地形や地盤、過去の地震被害から注意すべき点が多くあります。

今回は、南海トラフ地震の概要から廿日市市の具体的な被害想定、家づくりに活かせる地震対策までを、公的機関の資料に基づいて解説します。

 

目次

1. 南海トラフ巨大地震とは

2.廿日市市の地震リスク

3.廿日市で南海トラフ巨大地震が起きた場合の影響

4.家づくりの際の地震対策

5.まとめ

 

 

 1. 南海トラフ巨大地震とは

 

 

南海トラフ巨大地震とは、駿河湾から四国沖、九州沖に延びる南海トラフ沿いでおおむね100〜150年ごとに発生するとされる超大規模地震です。

内閣府や地震調査研究推進本部によると、マグニチュード8〜9クラスの地震が30年以内に70〜80%の確率で発生すると見込まれており、西日本全域に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

地震が発生すると、震源に近い太平洋側では大きな揺れに加えて津波の被害も想定されています。

仮に発生した場合、震源に近い太平洋側では大きな揺れとともに津波の発生が想定されており、最悪のケースでは日本全体で最大32万人の死者、200万棟以上の建物被害が出るとの推計もあります。

また、ライフラインの断絶や経済活動の停滞、長期的な避難生活の発生など日常生活にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

廿日市市のような瀬戸内海沿岸の自治体でも、被害を最小限に抑えるための備えが推奨されています。

 

 

 

2.廿日市市の地震リスク

廿日市市は、山地と海岸部が混在する地形と多様な地盤条件を持つ地域です。

このような地形や地盤は、地震時の被害に直結する要因となります。

特に、軟弱地盤や埋立地では液状化のリスクが高く、過去の地震でも実際に被害が報告されています。

この章では、廿日市市の地形や地盤の特徴をもとに、地震によって生じるリスクについて解説します。

住宅を建てる際に注意すべきポイントも併せて確認しておくと安心です。

 

 

廿日市市の地形と災害リスク

廿日市市は、北部に山地が広がり、南部は広島湾に面した沿岸部や市街地が広がっています。

地質的には花崗岩類が主体ですが、平良地区や阿品地区などの沿岸部には沖積層や埋立地も多く、地盤が軟弱な場所では地震時の液状化リスクが高まります。

市が公開しているハザードマップでは、土砂災害や津波、洪水などの災害リスクと併せて、液状化の危険度も色分けで表示されています。

特に、競艇場前駅・阿品駅・地御前駅周辺、貯木場付近は、地盤条件から見て液状化の危険度が高いとされており、住宅を建てる際には配慮が求められます。

 

 

 

過去の地震からみるエリア別被害の傾向

廿日市市が過去に大きな被害を受けた例として、2001年の芸予地震(M6.7)が挙げられるでしょう。

この地震では廿日市市で震度5強が観測され、市内の埋立地では液状化により家屋が傾き、沈下した例が報告されています。

特に、被害が集中した阿品地区では、地盤沈下や道路の陥没、上下水道の損傷が確認されました。

被害の多くは地盤の特性と関連しており、今後の地震でも同様の現象が再発する可能性があると指摘されています。

 

 

 

3.廿日市で南海トラフ巨大地震が起きた場合の影響

 

 

南海トラフ巨大地震が発生した際、廿日市市にも強い揺れや津波の影響が及ぶと想定されています。

建物の倒壊やライフラインの寸断、浸水被害など私たちの生活に影響を及ぼすリスクも想定されています。

ここでは、被害の具体的な想定や津波の到達時間、避難体制など、南海トラフ地震が廿日市市に与える影響を整理し、備えるべきポイントを紹介していきます。

 

 

想定されるマグニチュードや生活への影響

広島県が発表した被害想定によると、南海トラフ巨大地震発生時、廿日市市では最大震度6弱〜6強の揺れが想定されています。

老朽化した建物や耐震性の低い住宅では倒壊の危険があり、人的被害も避けられません。

また、住宅全壊棟数は広島県全体で約2万7千棟、死者数は約300人と推定されており、廿日市市でも同様の被害が想定されます。

さらに、地震の影響で電力・水道・ガスなどのインフラが広範囲で停止し、道路や鉄道も寸断される恐れがあります。

医療機関の機能停止や通信手段の遮断により、救援活動の遅れも懸念されています。

 

 

津波は起きる?

廿日市市の沿岸部でも南海トラフ地震に伴う津波の影響が想定されています。

広島県の被害想定によれば、最大津波高は約1.9m、到達時間は地震発生から約3時間30分後とされています。

この津波は太平洋側ほどの高さではありませんが、広島湾沿岸の低地では浸水の可能性が高く、廿日市市でも最大約6.5km²の浸水と約4,300戸の浸水被害が見込まれています。

住宅の立地を決める際には、必ず浸水ハザードマップを確認し、安全性を確保してください。

 

 

廿日市市の避難先

廿日市市では災害時に備え、指定緊急避難場所と指定避難所が多数整備されています。

緊急避難場所は公園や広場、避難所は主に小中学校の体育館や公共施設が利用されています。

また、市が提供するハザードマップには、各避難先の一覧が掲載されており、液状化や津波の危険性を考慮した配置がなされています。

住宅を建てる際は、最寄りの避難先と経路を事前に確認し、家族で共有しておくことが大切です。

 

 

 

4.家づくりの際の地震対策

注文住宅を建てる際には、災害リスクを踏まえた設計が重要です。

地震対策として代表的なものは耐震・免震・制震の3種類あり、それぞれ異なる特徴があります。

予算や地盤状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要なポイントです。

 

構造方式 特徴 耐震構造 建物自体を強固にし、揺れに耐える。一般的な構造です 免震構造 地面と建物の間に装置を入れ、揺れを建物に伝えにくくする 制震構造 揺れを吸収する装置で建物の変形を抑える

 

また、廿日市市や広島県では木造住宅の耐震診断や改修への補助制度があります。例えば 廿日市市の「木造住宅耐震化事業」では以下のような支援があります。 補助内容 上限額 現地建替え 115万円 非現地建替え 97.86万円 除却 30万円 耐震改修 最大115万円または57.5万円

 

■参考:廿日市市 木造住宅の耐震化補助事業申込希望者の募集

 

耐震改修補助は、6つのステップで申請できます。

 

 

1. 事前相談

電話等で住宅条件の確認・相談。所有住宅が補助対象か、建築時期・構造・評点などを確認。

建築指導課(TEL 0829-30-9191)で事前協議を行います。

 

2. 補助申請

事前相談の内容をもとに、廿日市市建築指導課へ補助金の交付申請を行います。

審査により申請が承認されると、「補助金交付決定通知書」が交付されます。

 

3. 工事契約

補助金の交付決定を受けた後に、施工業者と工事契約を締結します。

※交付決定前に工事を契約・着手した場合は、補助対象外となるため注意が必要です。

 

4. 工事完了・報告

工事が完了したら、「工事完了報告書」を建築指導課へ提出します。

審査を経て完了が認められると、「補助金確定通知書」が交付され、請求手続きにより補助金が支払われます。

 

■参考:広島県木造住宅耐震化促進支援事業 耐震化補助のご案内(令和7年度)

 

廿日市市では、木造住宅の耐震診断・耐震改修に対する補助制度が整備されています。

新築住宅の計画時だけでなく、中古住宅のリフォームや既存住宅の補強においても積極的に活用することで、家族の安全を守る備えに役立ちます。

 

 

 

5.まとめ

南海トラフ巨大地震は、廿日市市を含む広島県全域にも深刻な影響を及ぼす恐れがある災害です。

地震の揺れや津波、液状化への備えは、住まい選びの初期段階から意識すべき重要な視点です。

廿日市市で安全性の高いエリアを選ぶためには、浸水想定や液状化危険度が低い地域の選定が重要です。

例えば、広島県の液状化危険度マップでは、沿岸部約30%の区域が高リスクとされています。

公的機関が提供するハザードマップや被害想定資料を活用し、危険度の高い地域を避けた土地選びを行いましょう。

また、耐震性の高い設計や避難経路の確認も怠ってはいけません。

災害はいつ起きるか分かりません。だからこそ、家族の命と生活を守るために、今できる備えを一つずつ進めていきましょう。

注文住宅の計画は、防災も含めた安心できる暮らしの第一歩です。

 

 

 

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会社名:田中建設株式会社

部署名:経営企画部

執筆者名:大勢待 昌也

執筆者の略歴 保有資格 住宅ローンアドバイザー 

執筆者のSNSのリンク:https://www.facebook.com/oosemachi